ウーバーのイギリスでの営業

ウーバー(Uber)タクシーの運転手が自営業者なのか、それともウーバー社に雇われた労働者か、以前にこのブログでも採り上げた。

11月10日のNPRは、イギリス法の下での最新の判断を伝えている。

イギリスの労働法廷はウーバー社に対し、「ドライバーは従業員であり、最低賃金法や休息時間など、労働基準法の下での保護を受ける…」と判示したという。
これに対し、ウーバー社は控訴するという。
無論、事件でウーバー社側も、出来る限りの主張を展開したらしい。

そこでイギリスの裁判官は、「まるでハムレットだ!」と感嘆したという。
シェイクスピアの文、「貴婦人による抗弁が余りにもたっぷりなので(lady doth protest too much…)、却って疑いの念が…」のくだりを引いていた。

そこでの事実認定によると、ドライバーは単純な労働者(simply workers)ではないが、さりとて独立した当事者(independent contractor)でも、また従業員でもないとする。

アメリカでも州レベルでの類似の判決が出ているが、それが全米に対する先例としての拘束力を持たないのに対し、このイギリスの判断は、全英4万のドライバーを拘束するという。

ウーバー社のサイドから言わせると、
「ドライバーは、自分のスケジュールで動いており、気に入らないケースには応じない…」。
他方のドライバー側に言わせると、
「会社は、値段を決めているし、断る回数が多いと罰を加える等、様々な指示を送ってくる…」
と、文句がある。
会社の規則では、会社からの指示の8割は受けねばならないことになっているという。

なお、ウーバー社はつい先頃、安全上の理由からイギリスでの営業を差止められたが、会社が控訴して今のところ営業を続けている。
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ニューヨークのダンスパーティ

ニューヨーク市には、91年前の禁酒法時代である1926年にできた、「ダンス禁止法」とも言うべきCabaret Lawがあった。

今でこそ、「あった」と過去形であるが、つい先週まで、それが生きていた。

ニューヨークで居酒屋をやっているマッチモア弁護士(Andrew Muchmore)も、2015年にその法律で告発されていた。
彼は言っている。
「外の人が、『音がうるさい!』と警察に届けたので、騒音防止条例と、その法律との2つ、違反とされた…」。

このCabaret Lawが禁止していたのは、許可を得たキャバレーを除く、すべての公の場でダンスすることであり、もう1つ、3人以上の楽士で演奏することも禁止されていた。
マッチモア氏が言うには、この「キャバレーの許可」を貰うのは、結構大変で、ニューヨーク市内の25000軒ある飲食店のうち、約100軒のバー、レストランだけが、許可を採れているに過ぎない」、という。

このCabaret Lawが作られた理由の1つとして、あるジャーナリスト、映像メーカーは、白人と黒人とがダンスなどで肌を合わせることを禁止する意味が大きく、市内での黒人居住区を主な対象にしていたという。

この禁止法が、やっと10月31日、41人の市議会議員のうち、1人のみ反対の賛成で可決された、とNPRは伝える(11月4日)。
先ほどのマッチモア氏は、「史上初のダンスパーティを今夜開催する」と言っている。

トランプ大統領の人脈

トランプ大統領による2016年大統領選挙運動と、その間にロシアがインターネット世界を通して、どう係ったか、どんな「ちょっかい」を出していたか、今、盛んに問題にされている。

特別検察官モラー(Robert Mueller)氏の指揮の下、捜査班は10月30日、遂に3人を立件したという。
3人とは、マナフォルト(Paul Manafort)、ゲイツ(Rick Gates)、およびパパドプロス(George Papadoulos)である。
また、パパドプロスについては、10月30日に司法省のFBIへの虚偽報告を既に自白したとされている(NPR)。

特別検察査官らによる10月30日の発表では、マナフォルトとゲイツは、マネーロンダリングや虚偽報告をするなど、全部で12のアメリカの国益を損なう罪を犯したとされる。
11と12番目の犯罪としては、1938年、対ナチスのため立法された「外国勢力代理登録法」(Foreign Agents Registration Act)の定めるとおりの登録をしなかったこと、また登録した時に、偽りのことを登録したことが、その内容になっている。

ロシアが2016年大統領選挙に影響力を与えたい、クリントン氏を不利にしたい、と願っていたことは、先ず事実であろう。
現に、パパドプロスなどの仲介で、ロシアの然るべき人(女も含む)が、トランプ陣営(トランプ氏の息子や、義理の息子を含む人々)に2016年6月に会っている(場所は、ニューヨークのトランプタワーである)。
そのとき、マナフォルトもそこにいた。

2016年大統領選挙時、トランプがパパドプロスを、外交政策助言者(foreign-policy adviser)に指名していたことも [1]、モラー検察官らは把握していた。
このパパドプロスは、2016年大統領選挙候補のトランプ氏が嫌いで、対抗馬だったルビオ(Marco Rubio)候補の応援に廻っていた。
このような会談を持ったのも、主に2016年大統領選挙でクリントン陣営の足を引張るためであった。

一方、マナフォルトの方は、2016年大統領選挙の時にトランプの参謀格で入ったが、それから間もない8月になり、彼がウクライナの前大統領で親ロシアのヤヌコヴィッチのためにロビー活動をしていたことが報道され、慌てて辞めざるを得なかったという経緯がある。

このマナフォルト氏につき大統領は、今となっては言葉少なにコメントしたが、一方、NPRの伝えるマナフォルトの代理人弁護士は、次のように述べた。

「皆さんも今日見られたとおり、大統領は「自分の選挙陣営がロシアと連絡を取っていたことは一切ない」、と明言してましたでしょう。その点で、マナフォルト氏と大統領とは、正に一致しています。マナフォルト氏と大統領の選挙陣営とは、一体だったのです…」。

しかし、一時大統領の外交政策助言者とされた前記のパパドプロスは、「トランプ氏が大統領に当選したら、ロシアを訪れて、プーチン氏と会談するように…」と、ロシア側から誘われていた。
その下準備として、彼が事前にロシアを訪れるようにとの話まで、ロシアが側からされていた。
そのことも、10月30日のNPRが伝える。

「ロシアの外務省が招待の幅を広げた…もしトランプ氏が、この非公式会談(off the record meeting)に来ないのであれば、トランプ陣営の誰か他の責任者(campaign supervisor)でもいい」。

パパドプロスが、このロシア外務省の言をトランプ陣営に伝えると、その責任者は、「あんたが行くことを奨める」と述べたという。
しかし、パパドプロスのロシア行きは、始終、実現しなかった。

パパドプロスは、ロンドンやブリュッセルなどの都市に一時いたが、その間にロシアの色々な筋と接触していたらしく、その中には、ロシアの「大学教授」と称する男もいて、その男から、「情報」を売り込まれていた。

ロシアの持っているその有力秘密情報として、「ヒラリー・クリントンのメール。何千通」があり、ロシアのいうところでは、それには「クリントンに泥(dirt)を被せられる内容がある…」という。
その大学教授は、それを餌に彼に接触していた。
これらの事実は今回、モラー特別検察官側が公表した資料中では、2016年3月から4月にかけての日付になっているという。





[1] 尤も、今となってはトランプは、「何、身分の低い若造で、一度会ったきりのボランティアさ!」と切り捨てている。

プエルト・リコでの電力復旧工事

アメリカ、モンタナ州の片田舎にあるちっぽけな会社“Whitefish Energy”が、プエルト・リコの電力公社(PREPA)から3億ドルと言うから、350億円くらいの電力工事の受注に成功した話が、アメリカでも注目を集めている。

Whitefish Energyの社長は、連邦内務省の長官とモンタナの田舎町の同郷で、この件で2人が話しを交したとも伝えられている。

プエルト・リコの電力は、ついこの間、相次ぐハリケーンで、確かにその発送サービスが大きなダメージを受けていた。
その復旧工事としての受注である。
アメリカでは、普通はこうした停電があると、その地区の近隣地区の電力会社からの工事人を借りて、復旧工事を行うことが多い。
プエルト・リコの場合は、本土から離れているばかりか、その自治体としての法的扱いも、50州とは異なる。

しかも、この公社(PREPA)は、自治体としてのプエルト・リコと同じように去る7月に事実上、破産状態になっていたが、Whitefish EnergyはPREPAから何らかの保証も要求しないまま受注しており、それも1つ話題を呼んだ点である(「だから、受注できた」との見方もある)。

もう1つ話題になったのが、連邦非常事態庁(FEMA)が、法律の定めるとおり、この契約を審査・承認したか、である。
それによって、連邦非常事態対象予算からプエルト・リコの災害対策費用として計上してある5億ドルから、215百万ドルを割り当てられることが可能となる。

問題の性質と規模の大きさから、プエルト・リコの知事が契約の監査を命じた他、連邦議会下院の監査小委員会も、PREPAに対し取引の全文書の保存と、写しの提出を求めている。

NPRによると、どうやらFEMAは、この契約を一応監査したことはしたらしい。
しかしその内容、殊に工事人1人当たりの時間給が、職種によって300ドル台を大幅に超えているなどで、FEMAの言葉尻がはっきりしないとの見方が出ている。
10月27日のNPRは、FEMAがこの契約に承認のサインをしたか、「はっきりしない」という意味のDid FEMA sign off on this?と記している。

この話しは、10月29日PREPA公社側が、契約を一方的にキャンセルをしたことが公表された。

政治団体への税の優遇措置の適用

アメリカ合衆国の国税局に当るIRSが訴えられて、2013年以来の長い間争っていた2つの大きな訴訟で、実質的な和解に達したことが判った(10月27日NPR)。

2つとも訴えていたのは、つまり原告となっていたのは、いずれも右寄り(保守派)の団体などであり、1つは「自由の要」(Linchpin of Liberty)と40の団体、もう1つは、愛国者ティーパーティー絡みのNorCal Tea Party Patriotsと247の団体である。

いずれも、自分達が右寄り(保守派)であるからか、「IRSによって、不当に税の優遇措置の適用を拒まれていた…」と主張して、訴えていた。

2つの和解とも、これから後ワシントンD.C.などの連邦地裁判事により承認されて、正式な(判決と同じ力を持つ)ものとなる。

以上のことは、セッション(Jeff Session)司法長官が10月26日に公表した。
長官は、そこで述べた。

「IRSのやり方には、弁護の余地がない…詫びる必要がある…和解したからと言って、このような権力の乱用が許されることはない…」。

「自由の要」という団体を代弁して、やはり右寄りのアメリカの団体、「法と秩序センター」のトランプ大統領の弁護士の1人は、
「IRSは、この忌まわしい手法を私の顧客に対しもう使わないと約束した…」と述べている。
この和解条件の下で双方は、自らの弁護士分を含め、裁判費用をそれぞれ負担する。

和解書中でのIRSは、自らの非を認めた(これらの団体につき必要以上に厳しく査定し、異常に時間をかけた)としている。

もう一方の原告、NorCal Tea Party Patriotsの代理人は、和解金額を明らかにしないで、お詫び(apology)だけでは不十分なことを明確にしていた(こちらの方は、シンシナティの連邦地裁での承認になる)。

以上のような展開となった背景には、2010年頃までに判例などにより、この種の政治団体への税の優遇措置の適用が緩やかになった一方 [1]、IRSが同年から、その審査を厳しくし出したことがある [2]。






[1] 「自由の要」のケースでは、お詫びだけでは不十分の確認判決は出されていて、「団体名と、その政治的見解のみによって判断するのは、修正Ⅰ(表現の自由)違反だ」とされていた。

[2] これらの団体は、IRCの501(c)(3)の慈善団体としての適用を申請してきた。それだと、そこへの寄附者は、課税されないで済む。これに対し、501(c)(4)の社会福祉団体(social welfare organization)では、寄附者は課税される。