ウォールストリート・ジャーナルの編集長

トランプ大統領によるメディアに対する挑戦的な言葉はよく報じられている。
特に知られているのは、選挙戦終盤での彼の言葉、「メディアは全アメリカ人の敵だ!」式の発言であろう。

メディアと言っても、右寄りなものもあれば、左寄りなのもある。
リベラルなニューヨークタイムズやワシントンポストが、時にトランプ氏の気に入らないような書き方、報じ方をして、彼の怒りを買っているのは、止むを得ないことと言うべきであろう。

一方、右寄りのメディア、たとえばウォールストリート・ジャーナルの編集長ともなれば、その描き方が、多少トランプ大統領寄りになるのも致し方ないことだ。
少なくとも、編集長ベイカー(Gerard Baker)氏はその考えであり、スタッフを集めて喋っている。自らの立場を擁護してである(2月13日NPR)。

「うちのは、一方に偏らないで、しかも好戦的でもなく…それでいて、うちをトランプ氏に対し「柔」だと、誰も非難できない」。

NPRは、それら社内の人間の話しとして(殊に選挙のときは)、
「保守層に喜ばれ、中でもウォールストリート・ジャーナルの親会社のニューズ・コープの会長マードック氏の気に入られなければならないから…」
と伝えている
なお、マードック氏がトランプ大統領と互いに馴染みであることは前に記した。


ベイカー氏もマードック氏も一致して、他の大手メディア一般を見下している点がある。
それは、彼らが、「リベラルさに(正しく)応えていないで、只無軌道ぶりを発揮している…」と批判していることからも知りうる。

その点、ウォールストリート・ジャーナルは、たとえばトランプ氏のあのバスの中での放言、「女は触らせてくれ放題」なども、他のメディアよりは小さくではあったが、きちんと扱っている。
この話しは、ワシントンポストが先鞭をつけ、他社も一斉に大見出しで報じていた。

先の選挙に対する報道はどうだったか。
ウォールストリート・ジャーナルは、当初トランプ氏をあまり真剣に採り上げなかった。
むしろ民主党代表のヒラリー・クリントン候補に、彼女の財団や労組のシンポに、一面での焦点を当てていた。

共和党系に対して、トランプ氏に対して、同じようなことを始めたのは、その後になってからであった。
ベイカー氏は、それが同紙の出発点であった通り、ウォールストリート・ジャーナルは、もっとビジネスに焦点を置いてやるべきだ、という。
一方のマードック氏は、これとは違う。
彼は、ニューヨークタイムズに対抗する形の一般紙を考え、「そのために記者も増やしてきた…」と言うが、ベイカー氏は、それを元の方向に戻すべく、それを効率化の一環として図っているという。

ベイカー氏の下の記者らの中には、一方でベイカー氏の編集方針に賛同しつつも、しかし「史上初の不動産事業家転じて大統領」となったトランプ物語を、同紙が専属的に「もの」にできなかったことに、幻滅を感じている者も多い。

一方のベイカー氏は、トランプ大統領の誕生でイギリスのスペクテータ(Spectator)誌に寄稿して、アメリカのメディア全体を冷嘲した。

「各紙の朝刊は、トランプ氏勝利のショックを、まるでイスラムの方式に倣って、絶叫塔の上からお告げ僧が死者の名を呼ぶかのように叫んだ…」
と言った具合である。
その上で、同紙がトランプ氏を贔屓したようなことは一切なく、「それこそ、フェイク・ニュースだ」と言った。
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