ゲリマンダリング

ゲリマンダリング(gerrymandering)の語は、ご存知でしょう。

例えばアメリカ最古の政治の中心があったヴァージニア州(2015年選挙では州の議員は全員再選されている)。
ヴァージニア州議会が決めるそこの選挙区は、まるで魚の骨のような形をしているのが少なくない。
長い間、色々と工作した挙句に出来てきた姿だ。

もう1つ、アメリカの政治で頭に入れておくべきことは、再選率が96.7%と高いこと。
つまり現議員は、連邦の議員であれ、州の議員であれ、それ以下であれ、滅多に落選しない点である。
たとえば2016年11月選挙でも、連邦下院議員の97%が再選されているという(3月18日NPR)。

こんな中、無論そのNPRの伝える有志の団体(ヴァージニア州)のように、草の根民主主義を志す人々からは「線引きの見直し」を求める声も強い。
そうした有権者が、2014年に州の選挙管理委員会を被告として訴えたケースがある。
連邦最高裁まで行って長期戦の様相を呈している。
議員らの影響力の下にある州の選挙管理委員会に対する不信から、独立した選挙管理委員会の設置を求める声も挙っている(アリゾナ州、カリフォルニア州で先例がある)。

連邦地裁は、州の線引きは連邦法に反しているとしたが、最高裁は、2015年3月、連邦地裁の判断の見直しを命じた。
しかし同年6月、連邦地裁は再び線引きは人種によるゲリマンダリングをしていると判断した。
この連邦地裁の決定を受けても、州の選挙管理委員会は線引きの見直しをしないまま、8月休みに入ってしまったため、線引きの仕事は連邦地裁判事らの肩にかってきて、判事らは、2016年1月に線引きを明らかにした。

この線引きに対し、州の共和党などから不満が出、最高裁に申立てたが、最高裁は2016年5月23日、共和党に対し、「当事者適格を欠く」として、却下した(結局、新しい線引きがそのまま有効となった)。
例の最高裁判決が南部の野獣を野に放った [1]。
多くの州が、以来、連邦法が全て無効になったものとして、勝手な線引きを始めたのだ。

以来、アラバマ、アリゾナ、ノースカロライナ、オハイオ、テキサス、ウィスコンシンの各州で再線引きの立法がなされていて、その際、無論ゲリマンダリングのし放題の状態が出現したと言う訳である。



[1] その最高裁判決とは、Shelby County v. Holder, 570 U.S. No.12-96 (2013)で、連邦投票権法が設けていた南部州の特定地区に対しての区割り規制を無効とした。
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