アメリカ人一般の懸念すること

アメリカが人種社会であることに関して、何回か採り上げてきた。
その他アメリカの人種問題では、人種問題を懸念する人の割合の変化(2014年の17%が2017年に42%へと急上昇したことについてなど。

ギャラップ社でも無論、この人種問題に関して時折調査して採り上げている。
2014年11月の調査では、「今アメリカで、何が一番大変な問題と思うか?」、とアメリカ人一般に対して訊ね、その集計を公表している。その同じ質問に対する答えを、6年毎にグラフにして表わしている。

それによると、「人種問題」が一番大変な問題だとした人の割合が、1972年以来ずっと3,4%以上に上ったことがなかったところ、1992年に15%、近年では2014年に13%に、それぞれ上っている。
このパーセントというのは、他の問題としての上位3つ、ワシントンの政府の問題、アメリカ経済、失業問題と並ぶ4項目と、その他の項目とを併せて11項目を、100とした中での比率のようである。

因みに、2014年の6~12月の各月の調査では、ワシントンの合衆国政府の問題が上下しつつも、大体1位の20%弱のウェイトを占め、次がアメリカ経済、3位が失業問題であったが、12月になって、上記のように人種問題が13%へと急上昇している。

長期にわたる大きな波としては、1954年、1960年、1966年、1972年の、6年毎、18年間の波動が最も激しかった。
その間の1963,4年にかけて、52%のピークがあったほか、1968年頃にも35%、また1958年に29%の大きなうねりが見られる。

この期間、つまり「ブラウン対教育委員会」の件での最高裁判決があった1954年から1963,4年にかけては、公民権運動が最も燃え盛った時期であった。
更に1968年には、公民権運動の中心人物の1人、キング牧師が、メンフィスで同市の(殆んど黒人ばかりの)清掃事業員の待遇改善運動のため訪れていたところを、暗殺されている。
これらが、上記の大きなうねりに対する理由として働いていた。

1992年に15%と、そこだけ突出して上ったのは、例の黒人のロドニ・キング(タクシー運転手)が、白人警官らによって集団暴行された事件による。
事件は2年前であったが、その年に、白人だけの陪審員が無罪評決を出していた。

一方、2014年にもピンと跳ね上っているのは、やはり警官による黒人への暴行・殺人事件が響いていると言ってよい [1]。
以上、アメリカ社会全体が人種問題に対し警報を鳴らしている、その印しとして人種問題を、この国が直面する最大問題(most important problem)だとする人々の率が、ピッ!と急上昇した点について記した。

ギャラップ社は逆の方向から見た、つまり非白人らが白人警察官をどの程度信頼しているか、彼らの道義心に対し信頼しているか、それを調べたものも公表している。
即ち、白人の60%が肯定的なのに対し、非白人の場合、49%しか肯定的な評価を下していないという(2014年11月17日)。
また、警察官の道義心については、白人の59%が肯定的な評価を下していたのに対し、非白人の場合、23%のみが、肯定的な回答をしたとしている(2014年12月18日)。

ギャラップ社が目下のところ懸念していることは、この2014年の急上昇(13%)が、1992年の時に15%と、その年だけ飛び抜けて上ったのと同じように一過性で終わるのか、それとも(公民権運動が盛り上がった)1950、60年代のように、高波として持続するのか、という点である。

この懸念に対する答えが、早速出された。ギャラップ社による2016年7月の調査による。
それによると、18%のアメリカ人が人種問題をこの国が直面する最重要な問題だと回答している。
2014年の13%から一旦一桁台に下っていたが、再び上昇してきた。

2位が政府に対する不満で16%、
3位が経済全体に対する懸念で12%、
4位が失業問題の7%、
次いで犯罪に対する懸念で6%、
人倫の低下に対する懸念で6%、
不法移民問題に対する懸念で6%、
国防問題に対する懸念で6%、
テロ対策に対する懸念で5%、
銃の問題5%、選挙制度の問題5%、

となっている。





[1] ミズーリ州ファーガソンで、Michael Brownという青年が警察によって殺された(2014年8月15日)。その前7月17日には、ニューヨーク州スタッテンアイランドで、Eric Garnerという青年が、同じく警察によって殺されていた。いずれの事件でも、警察官は起訴されることがなかった。

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